KOJI AONO From Just Around Statement Japanese"
Koji Aono

-statement-  <<Japanese>>

棕櫚(しゅろ)の庭』

カメラと三脚を抱えて街を歩く。
ある場所で何かを感じてシャッターを切る。
フレームの中に珍しいものや特別なことが切り取られている訳ではない。
しかし、そこには確かに感じることのできる”佇まい(たたずまい)”が存在している。

そもそも”佇まい”とは曖昧なもので、言葉で説明するのは難しい。
そのあまりにも不確かなものを写真は掴み取って、そのなかに閉じ込めることができる。

”佇まい”とはそこにある全ての事象が作り出す「何か」だと私は思う。
無造作に置かれている物の色や形、それらに刻み込まれている歴史、
その場にいる、もしくはいたであろう人々の存在感、
それらの関係性や空間的な繋がり、
そこに降り注いでいる光やそよいでいる風、
肌で感じる温度や湿度、その全てを包み込んでいる季節や時間の流れ…
各々が密接に結びついて、そこにはなかった「何か」が醸し出される。
切り取った時間は一瞬のはずなのに、
写真には多層的な時間の流れまでも内包しているように思える。

私はその場所に存在する”佇まい”に誘われて写真を撮る。
撮影後、改めて写真と対峙して、なぜその”佇まい”に魅せられたかを考える。
それは自身の記憶や内面を掘り起こす行為なのだと思う。

そしてその”佇まい”が必ずしも個人的な記憶だけに依拠している訳ではない、
となぜだか思うようになった。
ここにある写真は自分への問いかけの痕跡ではあるが、
万人が共通して持っている記憶に深く関わりがある気がしてならない。

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