WYSINWYG
"What you see is NOT what you get".
人が日常的に見ている世界は、
人固有のフィルターによって意図的に選択された、
何故だか多くの人たちに共通している世界である。
そしてふとした瞬間に、
共通認識として当たり前に見えている世界とは全く別の世界を
突然身近に感じることがある。
撮影者はその共通認識として存在している世界からこぼれ落ちた僅かな歪みを見つけて、
何か得体の知れない感覚に捕らわれてながらシャッターを切る。
そしてそれが何か分からないうちに写真のなかに閉じ込めようとする。
そこには多くの人に共通している世界に対しての認識は存在しない。
その写真に写されていることに撮影者は不安をおぼえ、
落ち着くために元来持っている既存のフィルターをデフォルメして、
新たに作り替えようとする。
それはすなわち意識の変化を要求されることに等しい。
あるいは無意識を意識の俎上に載せているのかもしれない。
そうやって日常と隣り合わせの異世界を覗き見しているのが写真家だと思う。